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イエメン産地情報 第2弾:バイト・ワスィール XCI(イエメニア / アルケミー)

イエメン産地情報 第2弾:バイト・ワスィール XCI(イエメニア / アルケミー)

ロット概要

ロット名 バイト・ワスィール XCI
品種 イエメニア
プロセス アルケミー
フレーバーノート ベリーコンポート、チェリー、ブラッドオレンジ、ジューシー、ダークチョコレート
産地 バイト・ワスィール < ハイマ・ダヒリーヤ < サナア < イエメン
標高 2,000〜2,300 MASL

ハイマ・ダヒリーヤの高地に位置するバイト・ワスィールの段々畑で栽培されたこのロットは、イエメンが誇る農業の伝統と革新の融合を体現しています。標高 2,000〜2,300m の地で育ったイエメニア種に、Qima 独自の「アルケミー・プロセス」を掛け合わせ、「Competition & 90+ シリーズ」の一部として仕上げられました。

煮詰めたベリー、チェリー、ブラッドオレンジ、トロピカルなジューシーさ、そしてダークチョコレートの深みが感じられるカッププロファイルは、イエメン固有の遺伝的力強さと、先進的なポストハーベスト技術の精密さを見事に表現しています。


 


プロセス:アルケミー

「アルケミー・プロセス」は、Qima Coffee が独自に開発した高度な精製プロトコル(PHP:Post-Harvest Processing)であり、1,300 回を超える実験の成果として誕生しました。データ駆動型の精密管理を特徴とし、コーヒー精製の概念を再定義する革新的な手法です。

アルケミー XCI プロトコルでは、まず通気性の良い環境で 12 時間の好気発酵を行い、その後ステンレスタンク内で二酸化炭素を充填して酸素を除去し、24〜48 時間のカーボニック・マセレーション(炭酸浸漬)を行います。続いて、36〜48 時間の嫌気発酵を経た後、日陰の風通しのよい高床ベッドで 48 時間乾燥させます。最終段階では、伝統的なアフリカンベッドに移して約 600 時間(25 日間)かけてゆっくりと乾燥させ、理想的な水分値に安定させます。

カーボニック・マセレーションと嫌気発酵を組み合わせたこのプロセスは、慎重な乾燥管理と相まって、深みと構造のある風味を実現しつつ、イエメニアのテロワールと遺伝的特徴を保護しています。


品種:イエメニア

イエメニアは、アラビカ種(Coffea arabica)の中で新たに特定された母体遺伝グループであり、世界でもイエメンにのみ存在します。

この発見は、今後のアラビカコーヒーの発展を根本から変える可能性を秘めた、膨大な遺伝的多様性の宝庫です。この研究は、Qima Coffee がクリストフ・モンタニョン博士と共同で実施した「イエメン史上最大規模のコーヒー遺伝子調査(25,000 km2 以上)」の成果として発表されました。科学論文 Unveiling a Unique Genetic Diversity of Cultivated Coffea Arabica L. in Its Main Domestication Center: Yemen にも詳述されています。

極端な気候条件(少雨と激しい寒暖差)のもと、600 年以上にわたり育まれたイエメンの在来種は、高い耐性と独自の風味を兼ね備えています。イエメニアはその進化の結晶であり、世界のコーヒーに新たな可能性をもたらす存在です。現在も、このグループ内からさらなる新系統の特定に向けた研究が続けられています。


産地:バイト・ワスィール

バイト・ワスィールは、ハイマ・ダヒリーヤ内のバニ・アル・シヤグ地区に位置する小さな山村で、標高は 2,000〜2,300m に達します。

穏やかな夏と涼しい冬、そして石造りの段々畑が広がるこの村は、イエメン産アラビカ栽培に理想的な環境を備えています。地域ではアディーニ種やダワイリ種のほか、果実や穀物も栽培されており、養蜂も重要な生業の一つです。

灌漑は主に降雨と湧水に頼り、世代を超えて受け継がれる伝統的な農法が今も守られています。深く根付いた部族文化が日常を形づくり、コーヒーは生活とアイデンティティの中心的存在として、この山岳地帯と世界のコーヒー愛好家を結びつけています。


産地:ハイマ・ダヒリーヤ

ハイマ・ダヒリーヤは、サナア西部の山岳地帯に位置する歴史深いコーヒー産地です。サナア市から西へ約 50 km、アル・メザブやアル・ヤール、ベイト・ヤシーンといった 11 の山村から構成され、険しい地形と隔絶された環境の中で、伝統的な生活と農法が今も息づいています。

この地では 300 年以上にわたり、農家が丹念にコーヒーを育て続けてきました。現在も約 400 世帯が栽培を続けていますが、老木化や種子品質の低下、病害による減収などの課題も抱えています。

Qima Coffee は 8 年以上にわたり、この地域の農家と密接に連携し、農業技術研修や遺伝子認証苗の配布を通じて、コーヒー樹の再生と生活改善を支援しています。これらの取り組みは、イエメンを代表する名産地としての遺産を次世代へとつなぐ重要な一歩です。

ハイマ・ダヒリーヤは、困難な環境にあっても情熱と誇りを失わない、生産者たちのたくましさと献身を象徴する地域です。


産地:サナア

イエメン中部高原に位置するサナア県は、険しい山々と肥沃な谷が広がる独特の地形を持ち、世界でも類を見ない気候条件が高品質なコーヒー栽培を支えています。アラビア半島最高峰のジャバル・アンナビー・シュアイブ山や、豊かな農業地帯として知られるワディ・ザールなど、歴史と自然が融合する地域です。

サナアは世界で最も年間降水量の少ないコーヒー産地(平均わずか 244 mm)でありながら、世界最古級のコーヒー文化を今に伝えています。かつてモカ港を通じて輸出された歴史を持ち、コーヒーの原点とも言える地です。

古代サバ王国やヒムヤル王国の時代から栄え、交易の中心地として発展してきたこの地は、今日もユネスコ世界遺産に登録された首都サナア旧市街を中心に、美しい建築と文化を色濃く残しています。石造・日干し煉瓦造の多層建築、幾何学模様の装飾、ステンドガラスの窓など、独特の景観はこの地域の象徴です。

サナアの肥沃な谷と独自の気候は、長年にわたりコーヒー栽培を支えてきました。今日もなお、イエメンコーヒーの中心的存在として、その品質と歴史的意義を世界に示し続けています。