コーヒーの木の伝播年表
コーヒーは何世紀にもわたって世界中に広がり、今日私たちが楽しむ飲み物となりました。宣教師、アラブ商人、探検家、植民地政府など、さまざまな人々が関わり、波乱に富んだ歴史を持っています。その伝播の歴史を年表形式でご紹介します。
「コーヒー」の語源
「コーヒー」という言葉の語源には諸説あります。アラビア語でワインの詩的表現である「カファ(qahwa)」から来ているという説があり、イスラム教でワインが禁止されていたため、その言葉をコーヒーに用いたとされています。また、エチオピアの地方名である「カファ(Kaffa)」に由来するという説や、古代エジプト語で「植物」または「神の土地」を意味する言葉から来ているという説もあります。
エチオピア起源
コーヒーの木(コフィア・アラビカ)はエチオピアの高地が原産地とされています。伝説によれば、羊飼いのカルディが赤い実を食べた山羊が元気になることに気づいたのが始まりとされています。
イエメンへ
エチオピアからアラビア半島のイエメンへコーヒーが伝わり、スーフィー教徒が儀式の際に飲用するようになりました。
16世紀:中東・北アフリカへ拡大
オスマン帝国を通じて、ペルシャ、エジプト、シリア、トルコへと広がりました。イスタンブールには世界初のコーヒーハウスが開店しました。
1600年頃:インド・チクマガルール(ババブダンギリ)へ
イエメンからインドのカルナータカ州チクマガルール地方のババブダンギリ丘陵にコーヒーが伝わりました。イスラム教の聖者ババ・ブダンが巡礼の帰りに7粒のコーヒー豆を密かに持ち帰り、この地で栽培を始めたとされています。この地域は現在もインドの重要なコーヒー産地として知られています。
17世紀:ヨーロッパへ
ヴェネツィアの商人を通じてヨーロッパに伝わり、ロンドン、パリ、ウィーンなどでコーヒーハウス文化が花開きました。
1658年:セイロン(スリランカ)へ
オランダ人によってセイロンでのコーヒー栽培が開始されました。
1696年:ジャワ島へ
オランダ東インド会社がジャワ島でコーヒー栽培を開始し、大規模なプランテーションを展開しました。
1706年:アムステルダム植物園へ
ジャワ島からアムステルダムの植物園にコーヒーの苗木が送られ、ヨーロッパでの栽培研究が進みました。
1714年:フランスへ
アムステルダムからパリの王立植物園にコーヒーの木が贈られました。
1717年:レユニオン島へ
イエメンからインド洋のレユニオン島(当時はブルボン島)にコーヒーが伝わりました。フランス東インド会社によって導入され、島の重要な農産物となりました。レユニオン島は後に高品質なブルボン・ポイントゥ品種の産地として知られるようになります。
1721年:マルティニーク島へ
フランス海軍士官ガブリエル・ド・クリューがパリの王立植物園からコーヒーの苗木を持ち出し、困難な航海を経てマルティニーク島への移植に成功しました。この1本の苗木がカリブ海と中南米のコーヒー栽培の起源となりました。
1725年:ハイチへ
マルティニーク島からハイチ(当時のサン=ドマング)にコーヒーが伝わり、フランス植民地での大規模栽培が始まりました。
1727年:ブラジル・パラ州へ
フランス領ギアナ(現在のガイアナ、スリナム周辺)からブラジル北部のパラ州にコーヒーが伝わりました。ポルトガル人フランシスコ・デ・メロ・パリェッタが、フランス領ギアナの総督夫人からコーヒーの種子を密かに入手し、ブラジルへ持ち込んだとされています。この出来事が、後に世界最大のコーヒー生産国となるブラジルのコーヒー産業の始まりとなりました。
1732年:ジャマイカへ
マルティニーク島からジャマイカにコーヒーが伝わり、後に高品質なブルーマウンテンコーヒーの産地として知られるようになります。
1748年:キューバへ
カリブ海諸島からキューバにコーヒー栽培が導入され、スペイン植民地での生産が始まりました。
1755年:プエルトリコへ
カリブ海諸島からプエルトリコにコーヒーが伝わり、島の重要な農産物となりました。
1760年:グアテマラへ
カリブ海諸島から中米のグアテマラにコーヒーが伝わりました。スペイン植民地時代にイエズス会宣教師によって導入されたとされています。グアテマラは後に高品質なアラビカコーヒーの主要産地となり、特にアンティグア地方のコーヒーが世界的に評価されるようになります。
1779年:コスタリカへ
グアテマラやキューバから中米のコスタリカにコーヒーが伝わりました。コスタリカは中米で最初にコーヒー産業を確立した国の一つとなり、後に高品質なコーヒー生産国として知られるようになります。
1794年:コロンビアへ
プエルトリコやベネズエラから南米のコロンビアにコーヒーが伝わりました。イエズス会宣教師によって導入されたとされ、コロンビアの気候と土壌がコーヒー栽培に非常に適していたため、急速に発展しました。コロンビアは後に世界有数のコーヒー生産国となり、マイルドで高品質なコロンビアコーヒーとして世界的に知られるようになります。
1822年:スラウェシ島へ
ジャワ島からインドネシアのスラウェシ島(旧セレベス島)にコーヒー栽培が伝わりました。オランダ東インド会社によって導入され、特にトラジャ地方での栽培が発展しました。スラウェシ島は後にトラジャコーヒーの産地として世界的に知られるようになります。
1825年:ハワイへ
ブラジルからハワイにコーヒーが伝わり、コナコーヒーの栽培が始まりました。
1877年:タンザニアへ
イエメンから東アフリカのタンザニアにコーヒーが伝わりました。アラブ商人やドイツ植民地政府によって導入され、キリマンジャロ山麓を中心に栽培が発展しました。タンザニアは後に高品質なキリマンジャロコーヒーの産地として世界的に知られるようになります。
1878年:マラウイへ
オランダのアムステルダムからアフリカのマラウイにコーヒーが伝わりました。スコットランド人宣教師ジョン・ブキャナンによって導入され、マラウイの高地での栽培が始まりました。
1878年:フィリピンへ本格導入
スペイン統治下でコーヒー栽培が本格化しました。
1892年:ケニアへ
イエメンから東アフリカのケニアにコーヒーが伝わりました。フランス人宣教師によって導入され、ケニアの高地の気候と火山性土壌がコーヒー栽培に非常に適していたため、急速に発展しました。ケニアは後に世界最高品質のコーヒー産地の一つとして知られるようになり、特にその明るい酸味と複雑な風味が高く評価されています。
1900年:ウガンダへ
タンザニアから東アフリカのウガンダにコーヒーが伝わりました。イギリス植民地政府によって導入され、ウガンダの気候がコーヒー栽培に適していたため、急速に普及しました。ウガンダは後にアフリカ有数のコーヒー生産国となり、特にロブスタ種の主要産地として知られるようになります。
まとめ
エチオピアの小さな地域から始まったコーヒーは、約1000年の時を経て世界中に広がりました。その伝播には、宣教師、アラブ商人、探検家、植民地政府など、さまざまな人々が関わり、波乱に富んだドラマがありました。それぞれの土地の気候や土壌、栽培方法により、多様な風味のコーヒーが生まれています。
AMBER & JADE ROASTERSでは、この長い歴史を持つコーヒーの魅力を、スペシャルティコーヒーを通じてお届けしています。







